魔法

また魔法が解ける瞬間をみてしまった。

 

俳優はアイドルじゃない。アイドルは俳優じゃない。

キラキラしていてよ、と思うのは私=消費者の勝手で、キラキラが渋さに代わっていくのを止める権利なんてない。「渋さ」はまだオブラートに包んだ言い方で、私にとっては単に「劣化」だ。永遠に20歳前後でいて欲しかった。永遠にギラギラして無謀できらめきに満ちていてほしかった。あの完成していなさが好きだった。完璧だった。彼は完成してしまって、完璧ではなくなった。考えるほどに無理な話だ。なにもかも。我儘な消費者の馬鹿話。

 

夢中で誰かを、あるいはコンテンツを見つめるのは楽しい。

夢中は魔法だ。だけど、夢中は盲目だ。盲目に楽しいから、忘れる。いつもいつも、今度こそ彼の魔法は解けないと思い込んでしまう。

魔法は解ける。フィルターは消える。

俳優はアイドルじゃないから、同じ演目をずっと演じ続けてはくれない。

 

あの子も、彼も、永遠に一番かわいい時で時が止まればいい。

魔法が欲しい。